uco Earp notes

ワイノナ・アープ Podcast「Tales of the Black Badge」キャストインタビュー拙訳 blog for Earpers and LGBTQ+ people

ClexaCon2017パネルメモと写真

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2017年3月にラスベガスで初開催された ClexaCon(クレクサコン)に参加しました。

ClexaConは「LGBTQウーメンとアライのためのメディア&エンタメ・コンベンション」です。(コンベンションの有名どころはサンディエゴのComicConとか。)

アライ(ally)とはマイノリティの味方のことです。(たとえば、異性愛者は同性愛者のアライになれますし、障害を抱えていない人は抱えている人のアライになれます。少なくとも日本でのアライはその意味です。)

ClexaConテーマには「メディアクリエイターがよりポジティブなLGBTQコンテンツをプロデュース・配信できるように力添えし、LGBTQコミュニティがよりよいレプリゼンテーション(描写)を推進できるよう援助するための教育リソースを提供すること。メディアにおける可視化向上のための基礎を固めつつ、LGBTQウーメンが伝えたいストーリーの制作にもっと参加してもらうこと」などがあります。

つまり、ドラマ『ハンドレッド(The100)』においてクラーク・グリフィンとレクサのカップル(クレクサ)の悲劇的展開にもあるように、そもそもアメリカTV界において高確率でレズビアンキャラが殺されてしまうことに「いいかげんにしろ」ということで始まったコンベンションです。(超人気shipでも悲恋ならわざわざ見たくないので、私は見る予定はありませんが)

 

プログラム内容としては、各ゲストとのサイン会・写真撮影会、プロの脚本作りワークショップ、ゲストを招いた様々なパネル(トーク)、ショートフィルムフェスティバル、各ベンダーの物販、コスプレコンテストなどがあります。

ゲストは、『LostGirl』のレイチェル・スカーステン、WayHaughtのキャサリンとドミニク、『Angel』のエイミー・アッカー、『Carmilla』のイリースとナターシャ、『Saving Face』の2人、『The L Word』のサラ・シャヒ、『Lost Girl』や『Wynonna Earp』製作総指揮エミリー・アンドラスなど。余談ですが、当時Wynonna Earpはまだ未見で、ゲストの中でよく知ってたのが、『Angel』(『Buffy the Vampire Slayer』スポンオフ)で大好きだったエイミー(POIは全然見ていません)。

ClexaConを一言でいうなら、天国でした。自分がしたい服装で、周りの目は気にならず(みんなLGBTQやアライでそれぞれの番組が好きなオタクだから)、批判的な人もおらずフレンドリーで、自分に嘘をつかずに居られる空間だったので。普段から自分を偽っていないつもりの私でも、大げさではなく、セクシャリティを含めてすべてにおいて視点が変わりました。今後、少しでも興味があるなら、LGBTQ+なら特に、一度と言わず参加を真剣に検討することをお勧めします。

で、そのパネルが個人的にとっても興味深かったので、箇条書きゆえなんのこっちゃ、ですが、今更ながらメモを置いておこうと思います。(理解できた範囲で、Q&Aも含みます)

 

「GL101:百合と少女愛アニメや漫画入門」

百合と少女愛の違い、王道アニメと漫画シリーズ、伝統的な言い回し、オススメなどの基礎について (国によって基準違って面白かった)

 

「視覚化とアセクシャル

  • アセクシャルは相手に性的魅力を感じない。
  • アセクシャルは反社会的なわけではない。
  • アセクシャルでもみんな同じではない。
  • 『ビッグバンセオリー』のシェルドン、『デクスター』のデクスター、など男性キャラが目立つ中、2012年『Dr. House ハウス』シーズン8に登場した患者、ケイラは「アセクシャルらしくない」普通のブロンドの女性として演じられた。
  • 2年前までアセクシヤルは病気認定されていた。
(途中退出)
 
 
クィア・ベイティング(視聴率稼ぎの釣り)vsクィア・サブテキスト」
120人以上参加の立ち見。途中参加。
 

「早期のゲイTV番組から現在のTV。レズビアンの広告やキャラの扱い」

一番大きい会場で、『Gilmore Girls』などの人気番組製作関係者によるパネル。

  • 『The100』でクレサが殺されたからクレクサコン(ClexaCon)ができた。
  • ゲイキャラクターを描くことは昔は許されていなかった。
  • 2004年でもレズビアンキャラは煙たがられた。
  • 「もうすでに1つゲイの番組あるから」と断られたこともあった。1つずつしかだめなわけ?
  • ネットワークのご機嫌とりをしなきゃならない。
  • レズビアンのシーンを撮る際、たとえば、キス→寝転がる→ベッドで膝つく、といった具合に、その都度オンエアできるように変えなければいけなかった。ベッドで膝をつくのはいいけど、ベッドに寝るとノーが出た。(会場爆笑) ブラはどうか?タンクトップで見せるのは?など細かく注文に沿うようにしていった。
  • LGBTキャラでも、(異性愛者と変わらない)普通の人として描写を心がけている(し、そうしたい)。
  • エレン・デジェネレスのカムアウトで勢いづくかと期待したけど、だめで、当時のバックラッシュに驚いたし、しばらくゲイキャラ登場についてはおとなしくなった。
  • 配信型の番組には現政権の影響は出ないと思う。なぜなら視聴者はコンテンツを求めているから。
  • コンテンツを作る側はお金のためにやってない (人もいる)。
  • 配信型だと見たい番組を見られるから若年層にはオススメ(カムアウトしていない家族と一緒に見られなくて困るなどの点で)。そしLGBT番組をオススメする時はその部分を伏せて説明すればいい!
  • コンテンツを作る人がいて、(ネットワークにかけあって、) パイロット版をなんとかして作る人がいて、視聴者に応えるサイクルがある。
  • レズビアンの方がターゲット層が増えた (ゲイ男性の需要が主にゲイ男性だけなのに対して、レズビアン女性やシスヘテ男性にもあるから)。
 
「みんなの協力が必要:メディアにおけるアライたち」
(アライのスタンスを聞けるとわくわくしていたら、パネリストたちは「嬉しいけどアライなのにこうだと示してしまうことに不安を覚える」「あくまで私の見解は」とそれぞれ言っていたのが印象的だった。)
  • アライとは各プラットフォームを駆使して、人の声を広げられること、(でしゃばらず)黙る時を分かっていること。
  • 『The Good Wife』のカリンダ(Flexibleなセクシャリティ)の描写について
  • 当事者の声を代弁してしまわないこと、置き換えないこと、声(意見)を遮らないこと。
  • 昔は役者が(偏見を恐れるなどの理由で)LGBTの役を避けていた。
  • クレクサのくだり、非当事者が問題が見えていない状態で「これでいい」と決めつけてしまう衝撃。権利(entitlement)の感覚問題。
  • シスヘテロ(自認している性と身体が一致している異性愛者)からの目線で描いた「これでいいんだよね」(が見られるが、してはいけない)。
  • 色んな理由で番組からキャラを消すことがあるが、「LGBTだからいいか」はキャラが死ぬ理由としては最低。
  • クリエイティブに対して責任を持たないといけない時代。
  • 教養があるのに、アライであることの意味をわかってない人たちがいる。
  • アライとしては、個人がどう思うか、感じるかを知りたいと思う。
  • ノーマライズしてしまうことの恐れ。
  • 「特権があると、(訴えを起こす当事者などに)攻撃されてると感じる」人たち
  • アライはどのマイノリティにも必要。
  • 自分の経験をシェアしなきゃいけないはずはない。
  • Straight white person (白人特権階級) やアライと認識していないゆえに、耳を傾けていない人たちにも気づいてもらえるように発信の仕方を変えたりする。
  • ツイッターでロムしてる人への影響。その流れを見てる人が(当事者で)不要に傷つくかもしれない。「あなたがその立場ならどう思う?」と建設的に会話を進めるようにする。
  • 1人じゃなくて大勢のアライが、いればいるほど良い。
  • リアルではありえない、実在しない空間(ストーリー)でのLGBTキャラをどう思う?「SFや魔法ものや弁護士などでLGBTが活躍すると視聴者は「こんなこともできるんだ」と思えるので、必ずしも非現実的だとか悪いことではない。TVなどのジャンルはこれからの社会的な位置を描くことが可能(たとえば『スタートレック』)
  • そういうキャラを当事者が書かなきゃいけない状況であるべきではない(誰が書いても正しく描けるべき)。
  • HIVポジティブのゲイ男性が、昔あったリアリティ番組『Real world: San Francisco』に出演して以来、ゲイに対するメディアでのイメージがそれ以前よりもポジティブに変わった。
  • 当事者の声を代弁せずそのまま届けること。
  • 当事者の割合とメディアでの扱いに差がある。
  • 統計に現れていない、変化してきているリアルの環境もあって、歓迎する人たちも増えている。(このコメントは娘さんと参加していたお母さんによるもので、感激して私が泣きました)

これのほかに、参加できなかった「有色人種のLGBTQレプリゼンテーション」パネルがあり、最終日に追加で第二回目を開催していたほど大人気でした。(スケジュールの問題で全部を見ることは不可能)次回のClexaCon2018は、パネルの内容もゲストも更に充実して参加者数も増えるでしょう。Speed-datingをもじったSpeed-friendingなんてイベントもあるくらいです(1人で参加しても友達ができるよ)。私としては、有色人種の参加者がもっと増えると良いなと思います。

 

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