uco Earp notes

ワイノナ・アープ Podcast「Tales of the Black Badge」キャストインタビュー拙訳 blog for Earpers and LGBTQ+ people

Wynonna Earp Podcast Kat Barrell インタビュー拙訳

『ワイノナ・アープ(Wynonna Earp)』Podcast:「Tales of the Black Badge

ニコール・ホット役 キャサリン(キャット)・バレル(Katherine Barrell)インタビュー回(52回)拙訳

(全体を通して意訳を含みます。ネタバレあり。)

 

ホスト:ケヴィン・バチェルダーボニ―・フェラー

ゲスト:キャサリン・バレル

 

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(日本からは Wynonna Earp | Netflix でシーズン1が見られます。)

 

 【シーズン2の展開について】

キャット:初回のインタビュー時に比べて、ファンも番組もWayHaughtの勢いも、様変わりしたわ。今シーズンでは新たに脇キャラも増えて、バランスを取らなきゃいけないし、脇役全員が毎回フィーチャーできるわけではないから、警官であるニコールの役目として目立つアクションができるのは私も嬉しい。その点、上司のネドリーから部下として、町の平和と秩序を保つ(特殊ではない)立場も大事だと聞かされたことも、やる気に溢れつつも警官としての能力をフルに発揮できずにいたニコールにとっては、モチベーションにもなるし、すごく意義があったと思う。

(中略)

S2の最初のWayHaughtシーン撮影前にドミニクと話をしていたところ、ドミニクが「ストーリー上で、2人はごくごく最近付き合い始めたばかりだってことを覚えておかなきゃいけない」と言ったの。それまでにソーシャルメディアで盛り上がっているWayHaughtの関係について忘れて演技しなきゃいけなかった。ファンが求めてるのは真実味のあるカップルだから、ウェイバリーとニコールの付き合いがまだ日が浅いってことに注意したわ。大変だった。S1を見返したりして思い出しながらの作業だった。

ボニ―:脚本通りと言えば、ニコールがウェイバリーを持ち上げた時の芝居は脚本通りなの?アドリブなの?って大勢が知りたがってるわ
キャット:あのリフトのこと?ラブシーンはね、バランスがすごく大事で、リハーサルしすぎてもだめだし。あれはWayHaughtが初めてセックスするシーンで、ドミニクも私も超大事なシーンだと分かってたので、正しく見せたかった。多少のぎこちなさが不可欠だったし、私自身、完璧に作り込まれたラブシーンは見たくない。

脚本にあるダイアログはそのままだけど、ベッドに行くまでの動き方は・・そうね、ドミニクとは長く一緒に仕事してるから、親密なシーンではお互い安心して芝居ができるけど、相手が誰であってもシーンのパートナーが不快にならないように、一定の敬意は必要だから毎回確認するのね。だから、ドミニクに「持ち上げたくなるかもしれない」と事前に言ってはいた。でも、どんな些細なキスでも確認はするようにしてるけど、あのシーンの大きな動き以外、仕草やささいな動きについてはその場の雰囲気に合わせてやったわ。

(中略)

【チア・ウェイバリーについて 】

キャット:脚本を読んでドミニクに「これぜったいネットで拡散されるよね(笑)」って言ったわ(笑)。S2は割とセクシーでユーモアにも磨きがかかって、もっとダークな印象がある。ドミニクは踊りも歌もできるパフォーマーだから(ミュージカルや舞台出演経験)、ウェイバリーにフォーカスが当たるシーズンでドミニクが色々披露できるのはすばらしいことだと思う。S1と違って、S2では役者に当て書きしてると思う。

監督したロンはコメディが分かる人で、私も割と面白おかしくあのシーンはやりたかった。チアリーディング撮影後にみんなで確認していて、モニターを見ていたときのことだけど、ドミニクが「もういますごい自意識過剰!」って、(もちろんすごくかっこよく撮れてたけど)ドミニクは「もうやだーブレてる」と不安がっていたけど、「何言ってんのすごくよかったわよ(笑)」って感じで。どんなに完璧に見える人でも自意識過剰になったりコンプレックスはあるものよね。

(中略)

この番組のいいところは、セクシーかと思いきや、コミカルなシーンになって、その数秒後にはグロかったりすること。そのダークユーモアがちりばめられてるところがエンタメになってて大好き。S2は全員が何を作っているのか理解して動いてた。制作総監督のエミリー・アンドラスが作ってるもの、伝えたいことを全員が理解して、伝えようとしてるの。

 

ケヴィン:以前、ボニーと僕と(エンタメライターの)ブリジットが『ワイノナ』のセットを訪問時のことなんだけど、エミリーがチアウェイバリーを含めたラフカットを見せてくれたんだ。そこで、エミリーが「これどうかしら?気に入ってもらえると思う?」なんて言うので、3人でこう返したよ。「ウェイバリーが。チアリーダーのユニフォーム着て。ニコールがその場にいる。間違いようがない(笑)」
キャット:あの回の予告が出た後のみんなのリアクションは、特にニコールの制服に気付いた人は、すごいと思う(笑) 

ボニ―:(気付くと言えば、ゲスト出演の)レイチェル・スカーステンのほお骨と耳でレイチェルだと分かった人もいたのよ!」(訳注:まじかよ)

(中略)


【ファンのリアクションについて】

キャット:毎日受け取るファンからの応援がすごいの。まだ1年目なのに。これだけのファンがついていることが信じられない。Earper(『ワイノナ・アープ』ファン)はみんなあたたかくて、圧倒的な愛がある。ポジティブなパワーがあるわ。ネットで知り合って、ComicConやClexaConなどのそれぞれのコンベンションで初対面した友達や、付き合い始めたカップルや、1つの番組でこれだけの人たちが繋がっていってることがすごく嬉しいし、素晴らしいことだと思う。

 

【ファンからの質問】
Abbyさん:オープンリー・レズビアンのキャラ(openly LGBTQ character)を演じていることで世界情勢についての感じ方や肯定的な描写をすることに、個人的に変化はありましたか?

キャット(丁寧に言葉を選んで):マイノリティ(underrepresentedな)・LGBTQのコミュニティの知識についてはね。あまりよく身近なこととして分かってなかったけど、これまでにたくさんの統計を読んだの。メディアでLGBTQキャラを演じていることでマイノリティの統計やデータにかなりの接点ができて、どれほど当事者の存在がないがしろにされているか、よく見えるようになったし、接することが増えた。
私は本当に幸運なことに、とても進歩した寛容な(liberal)環境にいて、そういう環境で(カナダ)育ったから、当事者のことを深く考えたことがなかったけど、今となってはとても身近に感じているし、当事者は友達、家族みたいな存在で、私にとってすごく大事な存在になっている。以前は個人的なことには感じてなかったけど、ファンからメッセージや手紙や、それぞれのエピソードを聞いたりしていると、以前とは違う感覚で(現状に)すごく胸が痛む。伝わってる?

ボニ―:仰る通り!ニコールの存在はEarperにとって、とても励まされる(inspire)存在になっているし、ニコールのおかげでカムアウトできたっていうファンもたくさんいる。

キャット:「If you can't see it, you can't be it(適当訳:見えていなければ体現出来ない)」っていう言い回しがあるけど、さほど寛容ではない社会に生きているひとたちにとってメディアはすごく重要な存在で、特に北米ではそうなのよ。さらに、メディアの使い方は驚くほど簡単に良くも悪くもできる。

若い世代への影響力もあるし、その点よく話すのが、ニコールを演じることは本当に大変な責任感とプライドがあるっていうこと。役者としては、2つの選択肢があると思っているの。1つは無知でいて、朝起きて芝居して仕事して家に帰って全部忘れるか。または、自分に課された責任感を認識して、世の中にお手本を示せるような権利が与えられたことで、演じるキャラが社会的にどう影響するかを考え、ほぼ永久的に残るネットの世界(ソーシャルメディア)でどのように声を上げるか考えたりすること。

中にははっきり口にしない役者もいるし、できないって人もいるので、それは個人的に尊重している。ただ、良かれ悪かれ、名声を利用してる人もいるってことには腹が立つし、善い行いをする機会があるのにポジティブな影響を与えようとしない人たちには本当に理解できない。(語り始めたからまとめて)つまり、メディアで仕事をするなら、それに伴う責任を全うすることも仕事のうちだと思う。役者を生業にしてTVドラマの仕事をするなら、自分の立場を理解すること。それができないならこの仕事はすべきじゃない。(こんなTシャツも。)

ケヴィン:ニコールを演じる上でキャットに起きた変化も、ニコールを見て影響されるLGBTQ当事者のEarperも、その他のEarperも、自分たちができることを自分なりにやっていることがすばらしいよね。

キャット:その通りよ。本当にその通り。Earperコミュニティは色んな人を繋げていて、特に資金集めやチャリティで集まるファンの数は大規模なので、驚くばかり。ここまで協力的で深い絆があるコミュニティは初めてだから、ただただ感激する。『ワイノナ・アープ』自体がエンパワーメント(empowerment: 権限・力を与えること)や平等、絆(family)、責任や愛がテーマの番組だし、「自分のありのままを受け入れること」は番組の要でしょう。それはワイノナをはじめ、ウェイバリーにも、どのキャラにも通じること。自分がどういう人間なのか分かって、それを自覚して、そこから先のステップにさらに成長していき、どういう人生を歩むのか。そういうテーマがある。この番組に関われていること、Earperでいられていることに感謝しかない。ラッキーだと思う。毎日のように「どうやったらこんな幸運な立場になるわけ?」って思ってる。


【ファンからの質問】
WaverlyEarp(HN)さん:90年代の番組で出演するならどれですか?

キャット:Rugratsの映画のリメイクでもあったら声の出演をしたい・・(笑)

 

Samさん:キャサリン・バレルの映画をやるとしたら誰に演じてほしいですか?
キャット:わーお、いい質問きた(笑)。エヴァ・グリーンに演じてほしい。
私なんかより、よほど興味深い人物だけど。すばらしいイギリスの女優さんで、
Camelot』っていう番組に出てたんだけど、彼女と一緒の空間にいられるならお金出すわ。

ボニー:私は夢は大きい方がいいから、私ならメリル・ストリープに演じてほしいって言うわ!

キャット:メリルね・・シアタースクールにいた頃、シェイクスピア劇のリハーサルをやっていて、ある日、コルセットや衣装をつけて急いで現場に向かってたら、みんなの様子がいつもと違ったので、どうしたのか聞いたの。そしたら、「彼女に会えた?!」って。「え、誰に?」って聞くと、「メリル・ストリープが来てたんだよ。入れ違いだった!」その日、メリルは学校の見学に来てて、数秒差で会えなかったの!当時、その舞台監督してた監督にはそこまでのことかと思われただろうけど、あまりのショックに涙が止まらなかったわ・・。だからいつか絶対メリルに会うって願ってる!

 

【ファンからの質問】
Jasmineさん:女優志望の若いファンにアドバイスがあればください

キャット:すごくいい質問!私から言えることは、役者がよく陥るパターンだと思うんだけど、集中するあまり演技のことしか見えなくなると、他のことをしなくなってしまう。だから、演技とまったく無関係の趣味を作る。役者として今後、どんな芝居をするか分からないでしょう。花屋をやるかもしれないし、警官をやるかもしれないし、バスケ選手をやるかもしれない。それを演じるには、生活の中で演技以外のことを知らないとできるわけがない。だから、エンタメ業界とは無関係の趣味友達やなんかを作ること。演技以外のことがないと、仕事が少ない時や軌道に乗るまでにひどい気持ちになるのも理由の1つ。

もう1つは、自分の作品を作ること。合格の電話を待つのが常になってしまったり、許可をもらうのを待ってしまうこともよくあることで、採用してもらうために気に入ってもらおうと必死になるけど、どんどん手に負えなくなるから、最初のうちは自分で動くことも大事。私もプロダクション会社を設立して、ショートフィルムを作り始めたのはその頃だった。その時決めたのは、オーディションに必死になることをやめた。
この役はとてもやりたい。でも、もし却下されても、演技は続けるから!という気持ちでいた。自分の作品を作り、物語を伝え続けて、練習していくし、作品について、あなた(エージェント)がどう決めつけようと関係ない、という気持ち。そうすることで、自分の尊厳が保てたし、リスクの低い環境での作品作りの練習にもなった。ミスをおかしても失望されることもないし、さまざまなことができるからとてもいい経験になった。

ケヴィン:いいアドバイスだね。では、これまでで一番のリスクは?
キャット:役者を生業にしたってことは明らかにそれだけど、それとは別にと考えると・・『ワイノナ・アープ』にキャストされた時、日雇いのバイトやパートタイムのUberの運転手で街中走っていた。『ワイノナ』が終わってしまったらって考えると・・・おそろしい。別の仕事が見つからないんじゃないかと思うと。これはほんとに恐怖でしかないけど、この仕事をしている以上、つきまとうものよね。同時に、それだけ必死に仕事をするってことで、必要な感覚でもある。当時、親にも(安定してほしいがゆえに)他のキャリアを考えてみたらどうかと言われたくらい。

もう1つは、入学を熱望していた学校を辞めたこと。高校時代、ミュージカルをやりたいと決めた。ミュージカルを学べるとあるシアタースクールにどうしても入りたかったから、部活動もやりながら放課後たっくさんのダンスレッスンを受けたりして。結果、合格したけど、入ってみたら自分には合ってなかった。これまで必死にやってきた念願の学校だったけど、退学して、古典の舞台を教えている学校に入り直した。
そこで、とある先生が、“ここで何してるのか”と聞くので、何でも出来るオールラウンドになりたくて入りましたと答えると、先生は“あなたはアクターだと思う。この学校では役者としての演技の素質は伸ばせないから、他に移りなさい”と言ったの。その言葉は、実は本当は求めていたアドバイスだったから、すごく嬉しかったのを覚えてる。当時18歳で、それまでミュージカルのことしか考えてなかったから、演技に絞るってことはすごく怖いことでもあった。だからそれが2つ目のリスクかな。

(中略)


Uberドライバーだったことについて】

ボニ―:キャットが自分のUberドライバーだったかもしれないですって?!

キャット:可能性はあるわね(笑) ドライバーをやっていると、本当に様々なおもしろい人たちに会えるから。私がアクターをやっているのは、人々に魅了されているからなのよ。選ぶなら演技か、心理学ね。どちらも似てる。アクターっていうのは、人間というものを受け入れて、どういう理由でどういう行動をとるのかを考えるわけ。Uberに乗るのも同じ理由で好きなの。(中略)私は人生の早期にやりたいことが見つかって、実際それをできるようになって。本当に、本当にラッキーだと思う。(訳注:really luckyを5回くらい言ってる)そんな環境にいられて感謝してる。

 最後に
キャット:これを聞いている人たちは多分、Syfyチャンネルでワイノナ・アープを見てると思うけど、改めて伝えておきたいのは、TVでチャンネルを合わせて見てくれることがものすごーーーく大事ということ。(48時間以内なら見られるDVRで週末に見てもいい) 残念なことに、TV番組を維持させるにはやっぱり視聴率が何より大事で、Syfyウェブサイトでもいいけど、TVでの視聴率が大事なの!!違法動画やTV以外で見てしまうと番組にとって損にしかならない。とにかく、見られる人は、毎週金曜日にSyfyチャンネルで『ワイノナ・アープ』を見て下さい!!これがもんのすごーーーく大事(super, super, super important)なんです!

追記:おかげさまで、シーズン3、決定しています。)

 

終わり

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